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ヘンプリ クリア感想 メモ

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新作エロゲ『ヘンタイ・プリズン』をクリアしました。錯乱している。化け物を見た。化け物をクリアしたといっても過言ではない。たぶん、ない。たぶん。
 
どこから書けばいいのか分からない。
 
とりあえず、体験版の範囲でいきなりパワポケ2戦争編のオマージュ(地下炭鉱シーン)が始まった際、「展開の面白さ」で泣いた。面白さの感動で泣いた。初めてのことだったので動揺した。
 
この作品さぁ、書き手がさぁ、すごくてさぁ!
 
ひとまず書き手の話をします。本作はライターがふたりいる。担当に確信が持てないし知識がないから、AとBにひとまず分けた。
 
A(たぶん倉骨治人さん)はシーン作りが上手すぎる。あと文学的な含蓄がすごい。感情の揺さぶり方が凄いね……紡がれる絶望がたまらん。涎じゅるった。涙ほろった。
 
B(たぶん神近ゆうさん)はテンポの刻みがべらぼうに上手いのが特徴だと思う。それよりも特筆すべきは、展開軌道の読めなさ。ずば抜けている。ヤバい。岬ルートと郁子ルート担当した人ですよね? 前シリーズでも特に感動した。今作の担当ルートーーつまり妙花ルートもキマってた。初見のインパクトだけで言えば、俺つば4章、すばひび2章に比肩したかもだ。意識してるのかもしれない。制作側がやろうとしてること、前シリーズよりもゼロ年代エロゲ志向だもん。すごいなぁ、この時代にこんな攻めたもの、商業で作ってるんだもんなぁ。……ほ、ほほほほほんとにすごいな?(わたわた会ヒナミ) てかキメてる? 
 
それはまあよくて。とにかくBさんマジパねえなって話。漫画・ネットのパロディを好むだけあって、展開がとにかく早い。作中キャラも笑いは鮮度が大事ってなこと言ってましたね。ただ、スピーディーで無軌道のように見せて、かなり理性的にカッ飛んでて面白い。ああいや、これはギャグ漫画なんてみんなそうか……まあそう漫画の文法ね。これから更に雑語りします。作りが藤本タツキっぽい。早くて、読めないけど、しっかりしてる。これは確かに「笑い」やるのと相性がいいんだよな……。ただこれはコントロールを誤ると、軽くなって壊れて終わる。そこのバランスの部分が上手い。マジで。抜きん出てる。今作は前作にも増してバランス感覚が問われたと思うんですが、しっかり崩さないでいた。これは本当にすごい。
 
ふたりのライターが、お互いの長所短所を支え合ってるのが読んでて伝わってきて、途中から「ばっ、ばば、化け物クリエイター共が!」!って震えながらやってたからね……雑魚キャラじゃんKg9lx……あ、化け物はモンスター級ってことなので褒め言葉です。モロチン。
 
一箇所『ショーシャンクの空に』のうんこパロディで超笑った。久しぶりだぜ、文章を読みここまで声出してワロタしたのはーー(主人公) ここも高速下ネタなのでBさん担当パートな気がします。外してたらすいません! ここであたし、激烈にフアンになっちゃった!(上沼恵美子)(ここで?) エロデューサーの一人称もすげえ良かった。ここにも俺つば4章の片鱗を見た気がするのですが、流石に王ヲタの妄言ですこれは。
 
内容の話をします。(順番が)逆だったかもしれねえ……
 
とはいえ読みの選択肢が多岐に渡りすぎて、どこを語りの支柱にすればいいか分からない。ひとまずキャラの話をします。
 
みんな好き。以上。
 
ごめん嘘。もうちょい書く。最初はみんな好感度低めっていうか、まあ犯罪者を見る目では見ちゃう。でー、そのバイアスを覆してくるんだろうなぁとは思った。思ったけど、すごかったね。
 
今作の主人公って自己投影しにくい設定がもりもり詰め込まれてます。他のプリズンキャラ達もまあ、立ち場だけ見たらそう。どんだけ二次元的に面白いこと言ってても、ふとした瞬間、読者の側が三次元的な犯罪者を想起してしまう。笑いっていうのは『情』のノイズが入ると起こりにくくなる。ここでいう『情』は被害者への共感感情がそれにあたると思います。(この辺ノアルートでちゃんと言及しててよかったですね)。このエロゲ的にもコメディ的にも不利な状態を、物語の力で覆した。これ挑戦的で超カッコいいよ……化け物集団クルッポーは常に挑戦し続けている。結局作り手の話が絡まっちゃう。
 
次は精神医学の話をします。
 
ここまでガッツリ切り込んでるかぁと思った。前作でも統合失調症をすこし扱っていたけど、更に深く切り込んだなぁ、といった感じ。プリズンは『抑圧』のメタファーだから、フロイトを選ぶのも納得。でー、抑圧によって引き起こされる、様々な精神の変調も取り扱ったのもわかる。ここも上手い。
 
わかるし、上手いんだけどー。正直ダメージ食らった部分もある。詳細は伏せるけど、食らいすぎて途中、精神統一の時間が必要だった。病気について間違った知識を書くと偏見を生むから丁寧に下調べした結果ですよね。女医の生っぽさ、凄かったしなぁ……なんていうかこう……逃避先で急にドぎつい現実を見せつけられる感覚は、病的なパートに限らずあると思う。該当箇所は人によると思うけどね。やはり全体的に見て攻撃的な属性を纏っている。
 
『挑戦的』っていうのは読み手に対してもそうなのか、と思った。プレイヤーは試されている。「物語の表示される窓」という牢獄にプレイ時は囚われる。鞭は「現実・社会・抑圧」。飴は「エロゲ・笑い・カタルシス」。任期が終わるまで更生(プレイ)は続く。ま、服役に強制力はないんすけどね……投げさせない為、とくに「飴」を強くしている。“なろう系”のざまあメソッドを使ってたのは印象深い。カタルシスはとくに重視していたように思いますね。
 
飴が美味しいから、我々は脱獄(プレイをやめること)を考えなくなる。しかし美味しい飴だけでは社会が壊れる(妙花ルート)。鞭だけでも壊れる(千咲都ルート)。抑圧。解放。抑圧。解放。グランドを終えて、任期も満了。「お勤めご苦労さまでした!」と素敵な結末で出迎えられる。クリアプレイヤーである更生した者たちはシャバ、つまり現実に戻る。対戦ありがとうございました。GG!
 
ここから我々が何をするかは、ヘンタイプリズン内でどういう学びを得たかによるんでしょう。各ルートの結末で、選択肢は何個か示されましたが、選ぶも選ばないも自由と。はー、疲れた……とりあえず万年床で寝るか……
 
めちゃくちゃいいゲームだったので、未プレイでこの文章を読んでるへんぴなあなたも、購入を検討してみてはいかがでしょうか!
 
っていうメモ。
 
メモだよ? たぶん。