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オッドタクシー4話と最終話の感想  ~群像劇における『○○の人』~

※ネタバレ注意

 

 まだ鑑賞してない人。はやく全話視聴してください。

 

 

 というわけで、オッドタクシーを観た。

 

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 TLのアニメに詳しいひとたち(迂遠な表現)がなんかめちゃくちゃ誉めてたから観たよ。@Kg9Lxは意外とミーハー。照れる。

 

 大まかな感想としては、そこそこ面白かったってカンジかな……

 

 いやごめん。玄人面した。超面白かった

 

 寝る前のおためし1話視聴から一気観するくらいには面白かった。いま目ぇバッキバキ。濃厚なシーン構成に、徹夜明けの脳味噌が壊れるかと思った。神アニメ。

 

 オッドタクシーのいいところって割と何十個も挙げられそうですね。でもまあ、そうだなぁ。強いてひとつに絞るなら、やっぱりキャラクター描写かなぁ。痺れる。ほんとよかった。登場人物ぜんいんに人間味があふれまくっているのは、最終話まで完走した視聴者には言うまでもないことでしょうね。

 

 超よかったよ。だからこそ……

 

 

 最終話のアレはなんなんだよ!!!!!!111

 

 

 と思った。なので、怒りに身を任せて感想を書こうとしている。

 

 ラスト2分ップさぁ……あれはなんだい?(掲示板の外国人)

 

  真犯人のせいで情緒おわった。寝れないよ、もう。

 

 なぜ情緒がおわったのかを書く。

 

 寝れないので、ただ怒りにまかせて、勢いで感想を書いてるだけ。推敲はしませんぬ。ここからはネタバレがんがんするので、まだ居る未視聴勢はオッドタクシーに乗ってください^^ 同じ目にあえばいい。

 

 

 

 

~群像劇における『無敵の人』について~

 

 前提の共有。無敵の人とはなにか。

 

簡単に言ってしまえば、『失うものが何も無い人間』のこと。失うものが何もないので社会的な信用が失墜する事も恐れないし財産も職も失わない、犯罪を起こし一般人を巻き込むことに何のもしない人々をす。

 

 らしいです。ニコニコ大百科からの引用です。

 

 ……ソースがニコニコ大百科!?

 

 それはいいが。

 

 とにかくまあ、あの忌々しい最終盤につながる『無敵の人』というモチーフの種蒔きは、わかりやすくも埋没しやすいように成されていたと思うんですよね。

 

 主に第4話で。

 

『田中革命』で示されたモチーフと虚構世界への言及、および語り手の存在

 

 斉藤壮馬による怪演のもと、田中という<持たざる人間>の半生が徐々に狂ってくのを描いたこの回。

 

 小学生時代のちいさな失敗の積み重ねを、社会人になってから取り戻そうとする田中。しかし結果として、<持たざる者>である田中は社会基盤を失い、やっと当たったドードーのデータ、さらにはペットのインコまでも失ってしまう――

 

 そのすべてのやるせなさを「タクシードライバーに轢かれそうになったから」という因果関係に丸投げして、小戸川を殺そうと行動しはじめるのが4話の後半です。

 

 物語において、論理的な連鎖反応は、受け手側の関心を惹くうえで必要不可欠だそうですよ。この4話で「田中の人生がおかしくなるまで」を長尺で振り返ることにより、彼の行動原理に納得がいくよう作られています。当の主人公、小戸川には心当たりがないので、まあ、怖いよね。まさしく「無敵の人」が現れた感じだし。

 

 受け手の側では、田中の襲撃の理由はわかります。語り部側の操るカメラのフォーカスによって必要以上の――いちサブキャラには多すぎるほどに――情報を与えられているからです。

 

 「群像劇」という形式をとった恩恵ですね。

 

 そう。この作品は「群像劇」。キャラAとキャラGがサブプロットBで絡まりあうなど、偶然のようでいて、語り部による緻密なコントロールがなされています。

 

 ゆえに、第4話のどこかでグーゼン銃を拾った田中が「神様がどうのこうの世界はプログラムでどうのこうの(うろ覚え)」とかなんとか言ってました。虚構世界への言及がメタ的に行われたことは、重要なポイントになると思います。

 

 小戸川に恨みを抱いたタイミングで田中が「銃」を拾う。また後の話では、適当に言った宝くじの番号がほんとうに当たる。などなど。この作品は一般的群像劇のように、すごめの奇跡がバンバン起こります。作中のリアリティはわりと高めに設定されているのにです。ここに「神≒語り部」の存在を意識させられました(作劇上の都合というのもモチロンあるんだろうけど!)それに加えての田中による虚構世界への言及は、やはりあるていどは意識的なものだと考えます。

 

 問題なのは4話以降。

 

 物語は、あの感動的な12話・13話中盤まで、サスペンス仕立てに進行します。そこにおいて語り部は、群像劇がカタチになるように、緻密なイベント管理やフォーカスする人物の設定を行います。

 

<持たざる者>ゆえに「無敵の人」となった田中も、話が進むにつれ、語り部のコントロール下に置かれます。彼の襲撃は因果関係を保ちつつ、物語において定期的に行われるイベントへと成り下がってしまう。終盤を除いて

 

 そうして、書き手の支配下に置かれた田中は、数あるキャラモチーフのひとつとして埋没していく。「タクシードライバー」「医者」「アイドル」「ヤーさん」「芸人」「弱者男性」他にもいろいろ挟まって……そして「無敵の人」

 

 話数が進むにつれて、特異なモチーフは埋没していく。暴力的なキャラクター複数人か居たのも、影が薄れた原因のひとつでしょう。

 

 かくして『爆弾』は埋め込まれたまま、最終話のエピローグにまで進んでいくわけです。

 

 なんでやねんが聞きたいよ。

 

最終話のラストで示唆された、フィクションにおける『無敵の人』概念

 

 13話までに様々な人物視点からドラマが描かれました。緻密な構成と、絡まりあった物語。

 

 10億円の行方は一体どうなるのか……大事なひととの「関わり」を守るために、小戸川は勝利することができるのか? そんな大筋。 

 

 そんな物語において、語り手のフォーカスを意図的に排されてたキャラがいます。

 

 真犯人のあいつ(名前覚えてない)です。

 

 群像劇の一員でーす☆みてぇなツラしてそれっぽい家庭環境語っておいて、その内に黒いモン秘めてやがった、あの女。

 

 最終盤。物語が閉じられる際(きわ)。最大の謎を「自分がやった」とバラしつつ、小戸川に対する明確な殺意を明かして――タクシーに乗りこみ、真犯人は微笑む。

 

 ~おしまい~

 

 ここにおいて『無敵の人』モチーフが完璧に回収されたと言っていいでしょう。

 

<持てる者>としてエンディングを迎えるはずだった小戸川は、殺意を持ったルール外の人間 に(おそらく)殺されます。

 

 ここでいうルールの外とは、法律等ではありません。

 

 それはもう、ヤーさん絡みの展開で散々語られました。じゃあ何のルールかっていうと、たぶんそれは群像劇のルール

 

 語り手は、あえて彼女の視点に合わせなかったのでなく、彼女の視点に合わせることができなかった。話の筋は「誰がアイドルを殺したのか」というミステリーではなかったからです。

 

 物語は<持っている>主人公・小戸川を中心とした巨大な渦を形成している。

 

 だから真犯人は『のこされた最後の謎が回収されねばならない瞬間』まで逃れられた、という構造をもっています。

 

 ここにおいてオッドタクシー制作陣の考えた、群像劇における『無敵の人』が示されています。

 

 田中は所詮、物語の中の「無敵の人」。4話まるまる使うことで、そうなってしまうまでを丁寧に描かれた、論理的で因果関係の中にある人物。

 

 対する真犯人は? 物語の外側の『無敵の人』。なので、どうしてそうなってしまったのかは最低限描かれます。ただしこのお話は群像劇なので、そこに至る過程などは、微々たる情報でも成立します。キャラが多いと情報量に制限がかかるためです。そんな彼女の動機と行動は「(物語開始前に)情報を握られていた」→「とりあえず殺す」です。受け手側からすれば「え、いきなりどしたん^^;; 話聞こか?^^;;」としか思えません。だって納得できないでしょそんなの。でも群像劇だから納得できるようになっている。ていうか、するしかないんです。エンディングだから。

 

 そうして<持っている>小戸川の物語は、真犯人の殺意によって、幕を閉じます。

 

 唐突に、受け入れがたく、あっさりと。

 

簡単に言ってしまえば、『失うものが何も無い人間』のこと。失うものが何もないので社会的な信用が失墜する事も恐れないし財産も職も失わない、犯罪を起こし一般人を巻き込むことに何のもしない人々をす。

 

 はいここで再引用。

 

 さらに、物語の幕が閉じると、真犯人である彼女はほんとうに『失うものが何も無い人間』になります。

 

 だって、オッドタクシーという物語は終わってるから。物語の外側では、失いようがない。彼女が懲らしめられる展開など、受け手のきれいな二次創作でしかない。

 

 こうしてぜんぶ崩れて、それまでの物語の積み重ねが反転しました。おわりだよ。小戸川の頑張りの末に得たものは、物語の外側にいたポッと出の猫のせいでおわり。積み上げてきたものが横槍で終了。おつかれさまでした。

 

 社会には多様なルールがあって、ルールの外に居る人間は怖いって話で、最後には『群像劇』のルールから逸脱させる。ここまでしてようやく、物語における『無敵の人』が書けるらしいです。すごいね。こわいね。

 

 まあね。はいはい。上質な話を展開してから、それをルールの外から粉々に投げっぱなしにぶちこわせるのは、まあ、オッドタクシーぐらいのクオリティじゃないと成立しないと思うよ。たしかにね。わかるよ。

 

 まあ、実際、それ許せるくらい面白かったし。納得もできるけど。これが書きたかったんだろうし……実際、弱者男性の描写とかキモいぐらいすごかったし……

 

 いやでも、めっちゃ小戸川さん好きだったし……

 

 だからこそさぁ、もうさあ。普通にハッピーエンド見たかったわけ。最後の最後になんで、回収しきれてない社会派要素を完璧にちかい形で出してくるんだ……

 

 おかげさまで寝れなくなった。

 

 なに。あれなの? もしかしてタクシードライバーがモチーフだから?

 

 映画のほうの『タクシードライバー』の主人公をオマージュして、<何者でもない>役割もてなかった真犯人を出そう! っていう魂胆なの?

 

 なんでやねん。

 

 普通に終わらせてくれたら1200点やったやん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(ダイアンの背が低い方)

 

 いやまあ、バッドエンドとかは百歩譲っていいんだけど……唐突にぜんぶブッ壊されたカンジが、ほんとに涙出るな……

 

 ヘンに長々書いといて、ほんとに言いたいのはこれ…………いろいろ思いだすし、なんか事件とかいろいろ……

 

 ほんとにオッドタクシー好きなんですけど、ほんとに怖い作品になってしまってグチャグチャで寝つけない……

 

 眠れないよー!

 

 

 

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 寝不足で……

 小戸川さんが見えてきた――?

 

 

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 ――――

 小戸川さん、天国に行くのか………?

 

 

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 あああああああ!

 

 待ってくれ! 

 

 ――待ってくれ!!

 

 行かないでくれ……!!!(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)(泣)

 

 ―――――

 小戸川―――――――!(シャニマスのプロデューサー)

 

 

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うわあああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああ

 

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 ――え?

 

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 いらすとやの……カレー?

 

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 小戸川さんが、いらすとやのカレーになったのか――?

 

【オッドタクシー×シャニマス二次創作・フリー素材のカレー転生エンド】

 

 頭が疲れたので、なにも考えなくていいアニメを観ながら寝ます。

 

 具体的にいうと『はめふら』中盤のピクニックの回です。

 

 さようなら。