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「今年触れて印象に残った作品」の感想を残します 2023/12/30

はじめに

年末が近づいてくる度、このまとめ記事を書かないといけない義務感に駆られています。ああいや、誰に強制されてるわけでもないんですけどね。勝手に追い詰められています。そういうことって往々にしてあるよね。

 

というわけで、「今年触れて印象に残った作品」の感想を残していきます。直接的なネタバレには配慮しますが、間接的なネタバレはあるかもしれません。

 

また、Kg9lxの中で「印象に残った作品」なので、選ぶ基準は面白さとかではないです。

 

たとえば2023年に遊んだゲームとして『ティアキン』が群を抜いて面白かったけど、特に語りたいことも強い印象もないため選びませんでした。

 

そんなKg9lx内でも激しい闘いを勝ち抜いた珠玉の「印象残り作品」たちの感想をどうぞ!(無駄なハードル上げ)

 

 

1. 人間不信の冒険者たちが世界を救うようです

 

パーティーから追放されて人間不信になった同士で、新たにパーティーを組むことになる系のお話! コンセプトからして正道をズラしてる感じが好みです。

 

舞台はファンタジーなんですが、妙に現代っぽいアイドル(裏に彼氏がいて生々しい)が出てきたり、算術と殴り合いを掛け合わせた『算数ベアナックルという競技がシリアス面して登場したり、既存のなろう文脈を平気な顔して破壊していくところがWEBの系譜っぽい。そもそも原作者のひとがやる夫スレ出身らしいことをTLで見ました。型に囚われない感じがまさにそれ。

 

手前で算数をして後ろで殴り合うという、マジで楽しくなさそうな競技を取り囲んでる人々(全員暇?)

 

ひとつひとつの細かな設定や演出が、この作品でしか味わえなそうな絶妙な組み合わせでした。

 

このアニメ、二期も三期も続いてほしいな~と願う一方で、不安定な作画から繰り出されるやや王道から逸れた展開を前に「この作品の続きは”無い”んだろうな……」と察しながら観る時間ほど苦しいものはない。いや嘘。言うほど苦しくない。本当は「最後を見届けるか……」ぐらいの気持ちでいます。

 

でも間違いなくこの作品からしか摂取できないナニカはあって、原作者と監督の作家性が色濃く出ている。最終回の静かな雰囲気とかね。クライマックスに向けて盛り上がっていく構造とは真逆で、挑戦的ながらもしっくりと収まっていたのは凄かったですね。

 

表層だけを流し見してると低評価を付けてしまいそうになるけど、その奥に込められた演出意図を考えながら観ていくとどんどん好きになっちゃう系の作品だった。

 

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監督ひとり原画のEDも、あえての低予算感が逆に印象深いものになってました。ていうかこの「Never Fear」自体が良い。鬼リピした。

 

基本的にサブスクでアニメ観てたらEDは飛ばしてしまうものですが、冒頭と画作りのよさだけで惹きつけられて毎回観てました。そういう作品ってあるよね。

 

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余談ですが、2023年秋アニメのEDは『帰還者の魔法は特別です』の「6を撫でる」が個人的にぶっちぎってた。こちらもかなり好きなアニメなので、よろしければ是非!(後方関係者ヅラ)

 

2. 偽聖女クソオブザイヤー

内面イカれてる系の男が、ゲームの世界の偽聖女にTS転生しちゃう系のお話!

 

これは本当に驚かないで欲しいんですけど、田中ロミオフォロワー作品です。電波が降りてきたので間違いありませんCROSS†CHANNELの影響をゆんゆんに感じます。ビビッと来てる。

 

原作小説は主人公の一人称視点と周囲からの三人称視点が交互に来る作りで、主人公からすればよろしくない行動なのに、傍からは完璧な聖女に見えるやつです。

 

勘違い系の亜種。自分のための行動が、結果的にとんでもない善行になっている系。

 

終盤につれて本作の特徴はエスカレートしていくんですが、それが色濃く出たラストバトルが本当によい! 人間性の欠けた主人公がどうやって世界に向き合っていくかの答えや、問題の解決方法、周囲のキャラの視点が泣ける。

 

たとえ主人公の行動が意図していない受け取られ方をされても、主人公に救われたキャラの感情自体はまちがいなく本物で、第三者視点から見た主人公が(そのイカれた内面を知っていても)美しすぎる。ラストバトルの演出の良さだけでもう優勝です。

 

というか小説読んで泣いたの久しぶりかもしれないですね。え、WEB版読んじゃったけど書籍版買っちゃおうかな……コミカライズ版もちょろっと読んだけど見た目可愛すぎて、え、えぐいてぇええええええ!!!!!(そのへんに居る大学生)

 

kakuyomu.jp

WEB連載の可能性を感じる作品でしたね。書きたいものが明確でありながら、読者を喜ばせる気配りも忘れず、しっかり巨大な物語を展開しているのが凄まじい。これを突然あらわれた作者がどどんと最後までお出ししてくれる良さがある。過去作とか読みたすぎ~。これが処女作だった場合、あまりの才能に血を吐いて死にます。それぐらい良かった。

 

3. 悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします

 

転生したらゲームのマジ性格終わってるラスボス女王だったので、知識活かして酷い展開を回避しちゃおう系ファンタジー! 

 

第2話を見終わって自動再生の3話を見ようと思ったら、なぜか話数は2を表示していた作品。1話があまりにも濃すぎて2話分見ていたと勘違いしてました。その時点でもう『ラス為』に惹き込まれていたのかもしれない……ググッとね……

 

 

4話にて、助けられた騎士団長がチート主人公と討論をする展開があるんですけど、ここが一番よかったかもしれない。お互いがお互いを想っているという善性から成る対立に弱い!

 

基本的には優しく流れるはずの世界に対して、理不尽で破壊的なものが現れる(本来の最悪ラスボス女王がその象徴)。そういったものに対抗するには、まぁ力や意志が要るよねって話なのかな。書きながら整理しています。

 

声優が諏訪部でスラム出身のぶっきらぼうキャラです。成田クン!?

騎士団を襲ったテロリストが、隷属の魔法(でしたっけ?)で弱者に陥った先で優しい世界を知るも、別の破壊的な者に奪われそうになる下りとか、かなりテーマに即した作りだと思った。ありがちと言えばそうなんですが、このへんのサブプロットは疑似家族モノとして普通に泣ける仕上がりになってたのでおすすめです。

 

ちなみに、友達に薦めたら途中で観るのやめてて「これ『はめふら』ですよね?」って言ってきてワロタ。そんなことはないです。

 

ちなみに、アニメ視聴後になろう原作を読んじゃお~ってウキウキで様子見に行ったら880万字あって一目散に退散しました。読み切れるわけないです。

 

 

2023年の11月はなろう系アニメにハマって、1月で500話観ました(スクショは途中経過)。倍速機能を使えば、どんな微妙な出来でもするする流し込めることが判明! Dアニメストアありがとう。

 

世間の風潮に流されてなろう系を少し避けていたところはあるのですが、観てみればちゃんと面白かったりする。しかしこれは二倍速だから耐えられてるのかもしれぬ……

 

デスマーチからはじまる異世界狂想曲』とかけっこう楽しんで視聴していて、9話なんかではキャラの感情に引っ張られて泣いちゃったりもしたんですが、視聴後にネットで調べたらスマホ太郎の弟、デスマ次郎と呼ばれており、卒倒してしまいました。世間のみんなは厳しすぎる。

 

好きなひとを本当に心配していたからこそ流れてしまう涙に、弱い!!

この2ヶ月は色々な異世界ファンタジーに触れましたが、現実世界でないからこそ描けるキャラの感情を追うのが好きだなーという気づきがありました。転生モノも書いてみたくなった。なろう系マラソンもやる価値はありましたね。『防振り』の一期11話でギブアップした以外、40数本ほぼすべて完走できました。メイプルの話だけは振らないでください。代わりにサリーちゃんの話をどんどんしていこう。メイプルアンチスレ民(各話の最後に画面外で呪詛を唱えている)からは以上です。

 

4. 負けヒロインが多すぎる!

めんどくさい負けヒロインたちと青春を過ごそう! これがTVアニメ化しなかったら嘘だからっていう出色のシリーズ。放送を楽しみに待っています。

 

Kg9lxは良くも悪くも不遜なので、最近のラノベに対して大体は「ふうん。ま、いいんじゃない?」と飄々としているのですが、負けインに関しては今年入って読んでみて「あわわわわ」と慌てふためいてたし、多分おしっこも漏らしてたと思う。

 

ホントに現代ラノベが上手いんですよね。擦られ倒してるから話題にしたくないんですけど、青春ラブコメのヒロインに『焼塩檸檬』って名前付けられる普通?? キャラクターの飽和した時代にあって、こうも納得感があって印象に残る名前を付けられるのが凄いです。キャララノベをやろうとしてるのが偉い。上から目線とかではなく、格ゲーなどで上手いプレイを見たときの「偉い!」が出ています。

 

とことんライトノベルという媒体に特化している印象がある。たとえば現在形で文末を占めることによるドライブ感なんかは一巻時点でも見られます。淡白な会話劇も、するりと入り込んでくる。結果として読書体験が加速する。

 

さくっと読めて、キャラが生っぽさとラノベっぽさを兼ね備えた魅力を持ち、テーマを深く読めるサブテキストも撒かれていて、んー、ほんと隙が無いな?? 夜道で『負けイン』と出会ったら”死”を覚悟するしかない。逃れられません。

 

己の師事する創作の流派とは反対側にいると勝手に思ってるのですが、真反対の流派の”才”を初めて正面から確認したなぁという印象が強い! 読者としても創作者としてもファンになってるので、もっとバンバン続刊が出てほしいですね。12巻ぐらいで完結してほしすぎる(往年のラノベ読者)

 

5. ハミダシクリエティブ/ハミダシクリエティブ凸

 

社会からハミダシちゃった不登校クリエイターたちと、生徒会で青春イチャラブしちゃおう系エロゲー

 

担当ライターが、つり乙シリーズのライターでお馴染み東ノ助さんの変名であるという噂は聞いていた今作。プレイして数分で間違いなく本人だと確信しました。語彙とかリズム感とかまんまじゃん。

 

「王雀孫の直系の弟子のひとが、現代エロゲのキャラゲーに挑戦したらこうなる」という贅沢なものを見せてもらった気がします。

 

各ヒロインのルートにコンセプト的な機能を持たせてるのも設計思想として上手かったなぁ。R-18描写に力が入ってる子もいれば、作家性のメッセージに特化した子もいた。

 

や、後者は勝手に言ってるだけなんですけどね。過去のトラウマで男性不信+引きこもりになった錦あすみルートが特に印象に残りました。Vtuberを頑張っている子。

 

電脳世界とこちらの現実世界を切り分けて、別世界で頑張ることで現実世界でも前向きになって引きこもりを脱出する。ハミダシていた時間のおかげで外に出られるようになったというのは、錦あすみの選びとった道であると同時に、『俺つば』を受けての東ノ助さんからのアンサーでもある気がしました

 

 

この一文に込められた肯定のメッセージは、錦あすみの心からの実感であり応援なのはもちろん、変名をして別のエロゲ会社から再出発をした東ノ助さんの声でもある気がして勝手にグッと来た。なんならちょい泣きました。あんまこういう読み方って褒められたものじゃないかもしれないけど。

 

乙りろ、つり乙2.2を経て、さらに磨きが掛かった実妹ルートも本当に良かったですね……まだアトレルートやれてないけど……

 

 

ハミクリ凸追加ヒロインである天梨ルートがいちばん度肝抜かれたかもしれない。

 

特別な出来事とかあんま起きないで可愛いギャルとの恋愛を丁寧に描いていくだけなのに、ひたすら面白くて焦れったい、そんな恋模様を高い質で追体験できました。テキスト良すぎ。プレイ後に「ら、ラブコメの到達点!?」とひっくり返ったのは当然の話!(朝青龍

 

何気ないシーンを味わわせるのが上手すぎるんすよね……一級品だ……つり乙でも、焼き芋を同僚メイドと食べちゃう何気ないシーンが印象的でした。こういった点に力を入れてるのはライター本人のポスト(っていうか呟き)でも確認できます。

https://x.com/tuchiyamalove/status/398645777364303872?s=20

 

 

短いテキストのやり取りでも会話の面白さを突き詰められるのに、長文で物語を整理するのも上手いのが凄すぎる。「ここのスタンスを不明瞭にしていたらキャラの好感度が下がりそうだな」というところを、長台詞を使ってでもきっちり明確にしてくるあたりとか。繊細なところへの気配りを忘れない姿勢◎。

 

ある程度はエロゲ的で現代エンタメ的な都合のよさがあるんですけど、それでも作り手がキャラの人生に真摯に向き合っているという感があった。結果としてハミクリの登場人物は(エロゲのキャラクターとして)機能的に魅力的なまま、ひとりの人間として生きてるんですよね……プレイ中はただ感銘を受けまくりだったので、ハミクリについてはもっと深く考えたいなと思いました。まる。ぶっちゃけ東ノ助は神。

 

あとクリエイターヒロインが高校生でフォロワー数十万人とかいるのを見ると「こ、殺してくださーい♡ ザコでごめんなさーい♡」という気持ちになるよね?(あるある)

 

6. 十三機兵防衛圏

複数の時代を舞台に、13人の主人公を描くSF群像劇! って公式サイトに書いてました。

 

視点キャラもそうでないキャラも、全員良かったです。少ない手数でキャラ立ちが成されている。『十三機兵防衛圏』と『ハミクリ』を続けてプレイした結果、名作に比べてKg9lxはんのキャラ作成はカスやという気持ちになった。が、頑張りたい。

 

時系列シャッフル系と聞いて、プレイ前はビビっていました。理解できるのかなって。同じような作りの『最果てのイマ』を雰囲気でプレイし、クリア後の考察サイトを見て「あー、こういう話だったのか……」と遅れて知ったから。

 

そんな不安の中プレイした『十三機兵防衛圏』。やってみた所感としては、プレイヤー側に推理する余地をだいぶ与えてくれて、雰囲気で遊んでもなんとなく謎を追える。答えが綺麗に入ってくる!

 

この「理解(わか)らせ力」が大事だな~と思った。謎を謎として明示し、その答えもばばんと適切なタイミングでお出しするパワー。

 

一部の感想では「商業のふりした同人ゲー」と呼ばれてるぐらい作り手の色が濃く出ている作品、だからこそ理解らせる力が必要だよなぁと、怪腕でもって展開されるストーリーを追っていて思いました。飽きさせない工夫も張り巡らされてる。プレイ中は、何回予想を裏切られるのこれって驚かされっぱなしだったよね。

 

いやまあ、ストーリーの緻密さとかは他のひとが語ってくれるから別によくて。

 

少ないテキストのやり取りでこうもキャラが立ってるのが印象深いっていう話をします。

 

 

こことか凄く盛り上がる場面でないのになんか引っ掛かる言い回しで、クリア後に調べたら名台詞として紹介されてました。皆なんとなく心に残ってるって凄くない?

 

このキャラなら、こういう行動をしたうえで、こう言うよねっていう分かりみが深い。それを提示できるなら短いダイアローグでもいいのだという学びがあった。

 

そのキャラが言いそうかどうか、を受け手が理解する基準は、「各キャラの来歴からなる行動」を序盤から表層に出し続けることで形成されて~、ゆえに初手から全行動にキャラ性を乗っけるのが大切で……みたいな。みたいなことです(長くなりそうなので切る!)

 

まあしっかりキャラの人生に向かい合おうねって話で、『ハミクリ』と同じ学びを得た。得ました。

 

クリアまで25時間ぐらい、先が気になりすぎてSwitchの前に齧りついてた。途中いきなり性癖に刺さるシーンが立て続けに訪れて脳がめっちゃ興奮したりもした。いや面白かった~。全作品の中でも最上位に入る好き度かもしれない。おすすめです。

 

おわりに

今年もなんとか更新できましたぜぇぜぇぜぇ……

 

他にも『Hollow Knight』とか『ENDER LILIES』を裏まで含めて全クリして、「やーKg9lxってゲーム上手いな!」と調子に乗ってたらスマブラ魔境帯に心折られた話とか書きたかったけど、残念ながら体力切れです。むしろ切れて良かった。

 

いつも年末に焦って記事を書き始めて最後はガス欠になっています。過去記事を見たら、Kg9lxもアカウント開設から3年が経過しているそうですね。とても恐ろしい。

 

年始の楽しみであるフリゲ2023(各年のフリーゲームの人気投票です)も、今回で最後の開催ということで、時代の流れを感じまくりです。

 

果たして来年は更新があるのか……!?

 

ぶっちゃけ需要とかなくても見返すと楽しいので、更新します多分。割りとめんどくさいけど。

 

2024年は、Kg9lxにとって自由に創作に打ち込める最後の年になる可能性が高いです。だからこそ、「モア!ジャンプ!モア!」の精神で走り抜けるぞ――!!!!!

 

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